埼玉大学調節生理学研究室

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研究内容

 我々の研究グループでは、動物の生理機能を調節する生理活性物質に関する以下の研究を、細胞・組織・器官・個体の各レベルで多角的に進めています。このために、研究目的に適したさまざまな実験動物(哺乳類、鳥類、両生類など)を用い、多様な研究手法を利用して解析を行っています。また、早稲田大学、東邦大学、静岡大学、東北大学などとの共同研究も展開しています。

1.脳下垂体ホルモンの分泌調節機構の研究

脳下垂体前葉からは、成長、代謝、生殖、免疫などに関わる多くのホルモンが分泌されています。その一つであるプロラクチン(PRL)は、乳腺の発育、水電解質代謝や生殖活動への関与など、極めて多様な生理作用を有しています。我々の研究グループでは、このPRL の複雑な分泌調節機構を解明する研究を進めています。現在は、さまざまな生息環境に適応している両生類を用いて、視床下部由来の分泌調節因子の受容体の同定とその構造解析、さらに同因子のPRL分泌細胞におけるシグナル伝達機構などについて、灌流培養系、アゴニストやアンタゴニストを用いた薬理学的手法、ホルモンの測定、免疫組織学的手法、クローニングなど、さまざまな方法を利用して解析を進めています。また、高速液体クロマトグラフィーや質量分析装置などの分離精製及び分析装置に加え、生理学的な解析手法を用いることで、視床下部などから新たな分泌調節因子の探索も進めています。併せて、脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモンについても同様な解析を進めています。

2.ホルモンの生理作用の解析

ホルモンの生理作用を探る上で突然変異マウスは有用なモデル動物となります。我々の研究グループでは、タンパク質の翻訳後修飾に関わる酵素が変異した突然変異マウスを維持しています。本マウスは、生後3週齢頃からの成長の遅滞とその後の回復という極めてユニークな成長様式を示し、インスリン分泌能の低下といった糖代謝異常なども観察されます。甲状腺の正常な機能の発現にはこの酵素が関わっているため、本マウスでは甲状腺の機能が低下しています。そこで、本マウスを利用することで、動物の成長、代謝、生殖、行動、神経新生などに対するタンパク質修飾酵素やホルモン、特に甲状腺ホルモンの役割などについて、移植手術や、生理学的、免疫組織学的手法、さらに培養系などを用いて解析を進めています。

3.新規生理活性物質の探索と機能解析

動物の多様な生理機能(代謝、生殖、免疫など)の調節にはさまざまな生理活性物質が関わっています。我々の研究グループでは、このような生理活性物質を探索し、その機能などを解明することを目指しています。既に「1.脳下垂体ホルモンの分泌調節機構の研究」においてご紹介いたしました、脳下垂体ホルモンの分泌を調節する新たな視床下部性の分泌調節因子の探索はその一例です。さらに我々は、鳥類に特有な免疫器官であるファブリキウス嚢及びその他の免疫器官の機能を調節する因子の探索も進めています。現在、ウズラやカエルなどを対象に、分子生物学的・生化学的手法や培養系などを用いることで、免疫器官におけるホルモン様物質や抗菌物質などの探索を進めています。

4.鳥類の生殖系器官の左右不相称性発達に関する研究

鳥類では、性染色体の構成に従って生殖腺の性的分化が進むにともない、雄胚のミュラー管は完全に退縮してしまいます。一方、雌胚では生殖腺及びミュラー管に左右不相称性発達が生じ、左の生殖腺とミュラー管のみが機能的な器官に分化します。本研究では、鳥類雌胚に特有なミュラー管の左右不相称性発達が生ずる機構を明らかにすることを目的としています。現在は、ウズラを用い、組織学的・分子生物学的手法や培養系などを利用することで、同機構のホルモンによる制御機構について、特に関与するホルモン受容体の同定とその構造解析などの面から解析を進めています。
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