埼玉大学調節生理学研究室

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研究内容

塚原:環境化学物質の神経毒性に関する研究

はじめに

私たちを取り巻く環境には膨大な数の化学物質が存在しています。これらの物質は日常生活に利便性を与えていますが、その大部分の物質の毒性については不明な点が多くあります。特に、神経系に対する化学物質曝露の影響は、発達障害や精神疾患など、QOL(生活の質)の低下に繋がる症状を誘発する可能性が懸念されています。このような状況から、化学物質の神経毒性を評価することは重要であると言えます。しかし、既存の化学物質を網羅して、それらの毒性を詳細に調べることは、時間、労力、費用の面で困難であるのが実情です。そこで、より多くの物質を対象にして毒性を評価できる、モデル細胞を用いた新しい毒性試験法を開発するため、研究を行っています。

研究開発の流れと活用する研究手法:蛍光タンパク質を発現するモデル細胞のライブイメージング(図7)

ライブイメージングとは、細胞や組織を生きた状態で画像化する研究手法です。

これまでの研究成果

アポトーシスを誘導する化学物質の毒性評価試験法

SCAT3発現ベクターを導入したPC12細胞をモデルにしたライブイメージング試験法を用いて、アポトーシス細胞死を誘導する亜ヒ酸ナトリウム(NaAsO2)の毒性を評価しました(図8)。その結果、この試験法で示された亜ヒ酸ナトリウムの無毒性量(NOAEL)は1 μM、最小毒性量(LOAEL)は5 μMでした。また、この結果を得るのに要した亜ヒ酸ナトリウムの細胞への曝露時間は約5時間程度でした。これらの解析結果は、他の試験手法より得られた結果と比較しても、ライブイメージング試験法の毒性検出精度は高く、短期間で効率よく毒性を評価することが可能であることを示唆しています。

参考
  • Koike-Kuroda Y, Kakeyama M, Fujimaki H, Tsukahara S. Use of live imaging analysis for evaluation of cytotoxic chemicals that induce apoptotic cell death. Toxicology In Vitro, 24, 2012-2020, 2010.
    (リンク先:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20682336
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